以前アメリカやカナダの留学プログラムを
行っていた時期がありました。
参加する生徒さんたちには直前英会話を含めた
オリエンテーションを行いましたが、
その際に何か一つでもホストファミリーと
シェアできるものを
持参するように伝えました。
例えば書道を習っている生徒さんなら
簡易的でいいのでお道具を持っていくこと、
フルートが得意な生徒さんなら、
できる範囲で日本の伝統的な曲を
演奏できるようにする、
特に思いつかない場合は
家の周りや日本の歴史的な場所や
物の写真を用意して、
簡単に説明できるようにする、
などです。
自分が留学することにフォーカスすると、
「あれも聞きたい」「これも見てみたい」
「これだけは食べてみたい」
と思い、
英語のフレーズも
それに対応したものばかり
練習しがちになりますが、
相手の立場に立つと、
日本から学生が来るとなれば
その国のことに興味をもって色々な質問がくる
可能性があります。
もちろん、相手から聞かれなくても
コミュニケーションの一つとして
日本紹介すると喜ばれますので、
ある程度自分の言葉で
伝えられるように準備しておくことで、
相手との距離もぐんと近くなることでしょう。
私が初めて16歳でアメリカに行ったときに
日本舞踊を紹介しました。
浴衣を持参し、
簡単に説明した後で踊りを披露したのですが、
ノリのいいアメリカ人のファミリーは
終始から手拍子と
「すまいる~!」
という掛け声で思わず
笑ってしまいました。
そして着物の説明は
簡単にできても
日本舞踊については、
なかなか質問に答えられなかった
思い出があります。
例えば、
「どうして笑顔で踊らないの?」
「手拍子しながらはNGだった?」
「日本って○○なの?」
などの質問に分かりやすく
伝えられなかったのです。
日本文化について
全く知らない人たちにとっては、
私がやること、発言することすべてが
「日本代表」のように
受け止められるので
責任重大だと感じました。
これから国際化がより進むと
自国の伝統や文化を
アイデンティティとして
重んじる姿勢が
求められてきます。
そうすることで、
他の国の伝統や文化も
理解し受け入れる気持ちが
生まれてきます。
英語が話せるようになっても、
「あなたの生まれた町はどんな伝統があるの?」
「日本の行事はどんなものがあるの?」
「伝統的な文化についてどう思う?」
などとたずねられて答えられなければ
本末転倒になりかねません。
「英語で何を伝えるか」
「英語で何ができるか」
も視野に学習できるといいですね。